【社内恋愛体験談】同棲期間中、濃厚な性生活が続いた。あの時期に一生分の精子を出し尽くした気分

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社内恋愛や職場恋愛は手軽と言えば手軽。

お相手候補がすぐ近くにいるしな。

うちの会社もそれなりに盛んで、今の直属の上司も奥さんが元同僚だったりする。

その一方、周りからはどうしても「公私峻別できてない」と見られがち。

それに、うまくゴールインすりゃ問題ないが、そうじゃないと面倒だ。



修羅場の末に破局して、できれば顔を合わせたくない元カノや元彼でも、同僚、先輩&後輩、上司&部下として付き合っていかなきゃならないしな。

本人は納得してても、職場で「あいつとあの子は昔…」なんて言われたり。

そのせいか、なるべく周囲にバレないようコソコソ恋愛する奴らも多いが、小さな社会だから隠し通すのも難しいんだよな。

** ** **

という俺は30代半ばの中間管理職。

貴族でもないが独身生活を謳歌してる。

若手のころ、後輩の女の子と3年ほど付き合ってた。

とりあえず「ユキ」と呼ぶ。

なかなかの美人で、良く言えばおしとやかで清楚だが、悪く言えば地味で華がない。

某公共放送でニュースでも読んでそうな雰囲気の子だった。

新人で配属されたユキが何を勘違いしたか、たまたま指導係だった俺にベタ惚れ。

俺、面倒は嫌だから社内の女に手を出さない主義だったんだが、今どきの中学生でも退くような一途で愚直なアプローチに陥落してしまった。

で、付き合い始めたはいいが、困ったことにユキは処女だった。

その昔、デカチンと技量不足のせいで相手に痛い思いをさせたトラウマがあって、処女は遠慮してたんだが、その時ばかりは仕方ないんでいただいたよ。

結果、貫通式は無事成功。

それを機に2人ともハマってしまった。

脱がせて分かったんだが、ユキは中肉なのに巨乳&ムッチリという俺好みの体型。

しかもアソコの具合が俺のナニにぴったりで、毎回我慢するのが大変だった。

ユキはユキで、中イキを覚えてからは完全に「愛欲の奴隷」状態。

初体験が遅かった分、のみ込みが早いのか鬱積した性欲が爆発したのか、貫通式を終えた翌月には騎乗位で見事に腰を振るようになってたわ。

程なく2人で少し大きな部屋を借りて同棲生活に突入。

新婚さんでもここまでするか、というくらいハメまくった。

もう完全に猿。

アナルも完全挿入できるまで開発したし、縛ったりいろんな道具を使ったり。

2人とも相手がヨガると燃え上がるタイプだから、互いに高め合って、まさに底なし、快楽の蟻地獄ってやつだ。

当の本人にすりゃ天国だったけど。

歴代の彼女やセフレは、ある程度慣れると飽きるというか落ち着くんだが、ユキとは相性が抜群だったんだろう。

同棲期間中、ずっと濃厚な性生活が続いた。

あの時期に一生分の精子を出し尽くした気分だわ。

職場には一応、秘密にしてたが、こういう話は漏れるのが早い。

近所で買い物してるのを同僚だかに目撃されたのがきっかけだったと思うが、2人が同棲してるという情報は、あっという間に広がった。

まあ、知られて困ることもないんだが、男性社員からかなりやっかまれたな。

ユキと別れたのは、同棲を始めて3年くらいしてから。

彼女はもともと結婚願望や母親願望が強かったんだが、俺は真逆。

自分が誰かと結婚生活送って父親になるなんて想像もできないタイプだ。

事実婚状態だったとはいえ、そんな人生観の違いが別れた最大の理由だった。

もちろん揉めた。

ユキは俺にベタベタだったし、俺だって彼女に気持ちはあった。

ただ俺の場合、どうしても彼女との関係じゃ肉体的・性的な快楽が先に立つ。

言い方は悪いけど「愛おしいセフレ」という感覚。

ユキは身持ちが堅かったが、仮に彼女が浮気しても俺は意外と平気だったと思う。

そして、そんないい加減な気持ちで彼女の将来を縛る自分が嫌だった。

別れた直接のきっかけは、俺が社内選考をパスして海外駐在が決まったこと。

現地法人に勤めながらMBAを取得する制度で、帰国したら幹部候補になれる。

別に出世に賭けるような性格じゃなかったが、まあチャンスではあった。

別れを切り出したらむちゃくちゃ泣かれたが、最後はユキも折れた。

彼女の側も、俺といたところで将来が見えないと、何となく感じてたらしい。

既に2人の関係は社内じゃ公然の秘密で、結婚も秒読みと思われてた。

何も言わなくても「当然ユキちゃんも連れてくよね」という雰囲気だったしな。

破局を知ったユキの親友の女子社員から「人でなし」呼ばわりされたが、ユキが「彼は悪くない」と言って回ってくれた。

まあ格好の悪いこった。

海外赴任後、ユキとは努めて連絡を取らないようにした。

電話やメールは彼女にとって残酷な気もしたし、何より勇気がなかった。

ユキが鬱状態になって会社を一時休職し、本社の同僚から電話で、

「おまえのせいだろ」となじられた時はさすがにこたえたが、だからといって俺に何ができたわけでもないしな。

社内報の慶弔欄でユキの結婚を知ったのは赴任から1年半後。

相手も社員だが、知らない名前だった。彼女の退職を知ったのは、さらに半年後。

退職は出産が契機と本社の同僚から聞いて、正直ホッとした。

** ** **

長々と申し訳なかったけど、ここまでが前振り。

これだけなら栗の香漂う甘い記憶だが、それだけじゃ済まなかったんだよな。

今年、海外赴任を終えて元の部署に管理職として復帰したんだが、任されたチームの部下に「山田」という30過ぎの男がいた。

俺とは初対面。

俺の海外赴任と入れ違いに途中入社したそうだ。

色白&小柄でぽっちゃり体型。

おとなしいというかあまり愛想は良くなくて、仕事はボチボチだったが、まじめな男だった。

帰国からしばらくして、会社近くの居酒屋で俺の歓迎会が開かれた時のこと。

堅苦しい挨拶の時間帯が過ぎ、酒も回って場も砕けた雰囲気になって、馴染みの面々と土産話をしてたら、俺の近くにいた山田に若手が声を掛けた。

「山田さん、美人の奥さんと仲良くやってます?」

「ん? ああ、仲良いよ」

無愛想な山田が、珍しくにやけた顔で答える。俺は何の気なしに聞いてみた。

「へえ、山田君の奥さんて美人なんだ?」

「主任、知らないんですか? 昔うちの部にいた○○さんて人で…」

山田に代わって若手が答える。

ユキの姓だった。

今は旧姓ってことか。

そういや社内報で見たユキの結婚相手の名前が「山田」だったような気もする。

教えてくれた若手は俺の海外赴任後の入社で、一連の経緯を知らないらしい。

周りにいた中堅以上の連中の表情がこわばるのが分かった。

山田が俺を向く。

「そうか、主任はうちの嫁をご存知なんですね」

「ああ、○○なら新人の時に俺が指導係をやった。元気にしてる?」

「ええ、そりゃあもう…」

そこまで話した時、俺の同期が強引に割り込んで話題を変えてしまった。

気を使ったつもりらしい。

俺の方は、まあ捨てた側だし胸が痛まないわけじゃないが、自分の中じゃ整理できてるつもり。

周囲の余計な気遣いがむしろ不快だったわ。

さらに酒が進み中締めも近づいた時間帯、山田と例の若手の会話が聞こえてきた。

「ねえねえ山田さん、奥さんと夜の方ってどうなんですか?」

「ん?んん…今は減ったけど、子供が生まれる前は週2~3回は頑張ったなぁ」

「うひょ~~っ! 奥さんてアノ時、どんな声出すんですか?」

「いや、奥ゆかしいっつうかな、自分からほとんど何もしないし声も出さんわ」

耳を疑った。

職場での清楚さと裏腹に、ベッドじゃエロ全開で喘ぎまくるユキがマグロ状態だなんてちょっと信じがたい。

まさか別人だったりして?

「えぇ? もしかして結婚まで処女だったとか?」

「それは知らんけどさぁ、まあ未開発だったのは確かだなぁ」

「てことは山田さんが開発したんですか? うわ~、超うらやましい~」

「まあ、そんなもんだ。ははは」

ここで別の中堅が「1次会でする話題じゃねえだろ」と余計な口を出し、話を止めた。

山田は酒に弱いらしく、日本酒1合で真っ赤になってロレツも怪しかったな。

日ごろは物静かな男だが、酒が入るとお喋りが止まらなくなるタイプのようだ。

最初は俺とユキの過去を知った上でのあて付けかと思ったが、話の内容を聞く限りそうでもなさそう。

ユキの柔らかい体を少し思い出したが、終わった話だと自分に言い聞かせ、俺は黙って酒を飲んだ。

翌日、山田は宴会で自分が何を言ったか覚えてないらしかった。

俺もほじくり返して聞くつもりはないんで、普通に接した。これが社会人。

それから1カ月くらい後、職場で山田が声をかけてきた。

「今度の定例会、うちの部が幹事なんですけど、主任も来ていただけますか?」

「定例会? あれって管理職抜きでやるんだろ?」

「そうですけど、主任を呼んでくれって声が多くて。特別ゲストってことで…」

定例会ってのは、本社の同じフロアにある幾つかの部署の若手が月1回くらい有志で集まる飲み会。

管理職の目を気にせず気楽な話ができるし、俺も海外赴任前はユキと一緒によく顔を出してた。

部署内の新人の女の子も「来てくださーい♪」なんて言ってくるもんだから、俺も調子に乗ってお邪魔することにした。

これが間違いだったんだよな。

定例会当日、俺は会議があったんで、1時間ほど遅れて会場の居酒屋に到着。

「は~い皆さん、スペシャルゲストの××主任の到着で~っす!」

ハイテンションの山田の声が迎えてくれた。

やはり酔うと人格が変わるらしい。次の瞬間、店の半分くらいが凍り付くのが分かった。

参加者の中にユキがいた。

長かった黒髪をショートにしてうっすら茶色に染めてたが、間違いなく彼女だ。

勘のいい読者の皆さんなら…ってやつだが、あいにくこれは完全に想定外。

自分の中で決着をつけてたとはいえ、心の準備する間もなく目の前に現れたら、やっぱ動揺するぞ。

何とか笑顔を保ったつもりだが、たぶん引きつってたはず。

定例会は部署主催の歓送迎会や忘年会と違って「有志の私的会合」だから、転職した元社員もたまに顔を出す。

特に「寿」で退社した女性陣にとっては、昔の同僚と親交を暖める場でもあった…と、今さら思い出しても手遅れだよな。

「や…やあ、元気そうだね」

「ど…どうも、ご無沙汰してます」

互いに軽く会釈。

これ以上ぎごちない会話もないだろうな。

ユキも元彼が来るとは知らされてなかったらしく、俺以上に動揺してる様子。

やっぱり山田は知ってて嫌がらせしてるのか?

でも、奥さんに嫌な思いさせてまでって、何か俺、奴に恨み買うことでもしたか?

事情を知る1期下の後輩が、強引にユキから離れた自分の隣へ俺を座らせた。

可愛がってた後輩だが、慌てた様子で俺に耳打ちする。

「すんません。先輩が呼ばれてるなんて知りませんでした」

「なあ、山田の奴、知っててやってんのか?」

「いえ、知らないはずです…」

居酒屋は何とか変な雰囲気にすまいとあたふたする奴もいれば、ニヤニヤしながら成り行きを見守る奴、何も知らず無邪気に騒ぐ若い奴もいる。

山田はといえば無邪気に騒いでた。

やっぱり知らずに俺を呼んだのか。

何とか自分を落ち着かせ、違う部署の旧知の連中と飲み始めたが、どいつも露骨にユキの話題を避けてるのが分かって居心地が悪い。

飲んでる途中、何かの弾みでユキの方向を見たら視線が合ってしまった。

悲しそうな目で俺を見てる。恨みがこもってるように見えなくもない。

ここでウインクするか、笑顔で手でも振れば立派なプレーボーイなんだろうが、俺もそこまで熟成された人間じゃないしな。

正直、あれほどマズい酒もなかった。

店内禁煙だったんで途中、店の外に出て脇の路地でタバコを一服。

不愉快なのは確かだが、心の中じゃどこか浮かれてるというか喜んでる部分もあって、そんな自分にまたイライラする。

これが嫌がらせなら大成功だわな。

…なんて思ってたら店の入り口が開き、ユキが出てきた。

店に入った時ほどじゃないが、やっぱり衝撃が大きいわ。

近くで見たユキは、昔よりほんの少し肉が付いた気もする。

「えっと…帰るんだ?」

「あ…はい、子供を…そのお…主人の実家に預けてあるんで」

「そ、そっか。幾つ?」

「あ…はい、もうすぐ4歳に…」

この間の抜けた会話が、職場じゃ「クール」と言われる幹部候補の実態なんよね。

なんでこんなにしどろもどろなんだと、話しながら自分に腹が立ってくる。

「今日は…ごめん。ユキが来るとは知らなかったんだ」

「いえ、私も…全然聞いてなかったから…」

短い沈黙。張りつめた雰囲気に耐えられず、ここで店に戻ろうと決めた。

「元気そうで…幸せそうで…よかった」

引きつった笑顔で何とか搾り出した。

俺を見つめるユキの瞳がウルウルし始める。

やばい…と思ったが手遅れ。

黒目がちな瞳からブワッと涙が噴き出す。

次の瞬間、ものすごい勢いでユキが俺に抱きつき、胸に顔を埋めてきた。

通りから引っ込んだ路地とはいえ、すぐそこを酔っ払いが何人も歩いてる。

ここで女を突き放すほど非道じゃないが、かといってこれは実にマズい展開だ。

とりあえず軽く抱き締め、俺の胸でオイオイ泣くユキの頭を軽く撫でた。

「私…ウウッ…××さんのこと…ヒック…忘れたこと…うううわぁぁ~~ん…」

下の名前で呼ばれたのは久しぶりだった。

定例会の参加者が店から出てこないだろうな、と馬鹿なことを気にしながら、とにかくユキが落ち着くのを待って、頭を撫でながら顔を覗き込む。

「あのさ、俺、今日は特別ゲストだからさ…」

「………」

「定例会にはもう来る気ないから、ユキはこれからも安心して顔出しな」

改めて書いてみると、完全にピントのずれた慰め言葉だよな。

ユキはまだ鼻をすすりながら涙を流してた。

** ** **

嬉しいような悲しいような、でもやっぱり胸が痛い定例会を終え、どこかモヤモヤした気分を引きずりながら日常が再開した。

同僚によると、ユキが定例会に出たのは退職後3回目くらいだそうだが、俺が今後行きさえしなきゃ顔を合わせる心配はない。

あとは気持ちの問題だから、そこは折り合いをつけるのが大人…なんて考えたのが甘かった。

定例会から数日後、山田の様子がおかしくなった。

もともと職場では愛想の良い奴じゃなかったが、極端に口数が減って俺を避ける。

必要最小限どころか、ミーティングで指示を出しても「分かりました」すら言わない。

しょっちゅう席を外すし、仕事中も視線が中空をさまよってるかと思ったら、気が付くと親の仇を見るような敵意のこもった目つきで俺をにらんでる。

肉厚な顔に埋もれるような細い眼だから、正直かなり気色悪い。

当然、俺とユキのことが原因だろうな、と察しはついた。

ただ、定例会は金曜。

週明けの月曜は特に異常な雰囲気でもなかったから、居酒屋脇の路地でユキが俺に抱きついたシーンを目撃したわけじゃないはずだ。

それか、目撃した誰かが余計な「ご注進」でもしたのか?

1期下の後輩に探りを入れると、どうやら中途半端に事情を知ってる奴が、山田が見せつけるつもりでユキの来る定例会に俺を呼んだ思い込んで、「おまえ、いい加減にしろよ」とたしなめたらしいことが分かった。

で、「え?何のこと?」「ええっ?おまえ知らずにやってたの?」となって、自分の奥様の過去を知ることになった…ということのようだ。

たしなめたのは善意からだろうが、まったく余計なことしやがる。

このまま仕事に支障が出ても困るし、部下の異常を何とかするのも俺の役目だが、そもそも異常の原因が俺にあるからタチが悪い。

一度、仕事の合間に捕まえて、

「俺の下でやりづらいなら、担務変えてもいいぞ」と言ったんだが、恨みどころか呪い殺しそうな目で俺を見ながら「いいです」とだけ言い残し、逃げるように去っていった。

社内メールを送っても返信がない。

どうするか頭を抱えてたある日、パソコンの私用アドレスにメールが入った。

「お話があるんですが、お時間いただけますか」

ユキからだった。

** ** **

ユキと再会したのは土曜の午後、小さな喫茶店だった。

互いに心の準備ができてたせいか、居酒屋の時のように取り乱すことはない。

用件はもちろん山田の豹変だ。

ユキによると、山田は家でもめっきり口数が減り、部屋にこもりがちだという。

山田の両親の話では、奴は学生時代にも半ば引きこもりだったそうだが、それが再発したんじゃないかと心配してた。

俺たちの過去を知ったのがきっかけらしいと言うと、ユキは「やっぱり」と溜息。

「結婚前に俺とのこと言わなかったの?…て、言えないよなあ」

「私も言った方がいいかな、と思ったこともあったんだけど…」

山田が入社したのは、俺と別れたユキが休職して心療内科に通ってた時期。

職場でも「ユキちゃん可哀想にねえ」と話題になってたわけで、どうせ山田も誰かから話を聞いてるだろう、と彼女も思ってたそうだ。

まあ、付き合ってる男にわざわざ自分の同棲話を切り出す女もいないわな。

奴が事情を知らないと分かった時は、婚約も済み式の日取りも決まった後で、話す機会を逸してしまったんだと。

「だってあの人、ものすごく打たれ弱い所があるから」

山田はワガママで子供っぽい所はあるが、基本的にまじめな奴。

ただ、愛情の裏返しか、過剰と思えるほど独占欲が強くて嫉妬深いらしい。

だから過去を知ったら相当傷つくだろうな、とユキも心配してたという。

山田との馴れ初めも話してくれた。

奴は外見も性格も行動パターンも俺と正反対。

ユキがどこに惹かれたのかは興味があった。

といってもそれほど入り組んだ話じゃなくて、彼女が職場に復帰後、言い寄ってきた男どもの中で一番熱心なのが山田だったそうだ。

「私、誰かを愛することには疲れちゃってたから」

ズキッときたな。

俺との生活は基本「快楽第一」。

ユキがどれだけ愛情を注いでも、自分がどれだけ愛されてるのか、確信できない不安がずっとあったという。

山田はそれまで女性と交際経験がなく、恋愛にもとんと不器用だったらしいが、彼女にすればむしろその方が安心できたんだろうな。

交際開始から半年でスピード結婚。子供にも恵まれ、山田に異変が起きるまで結婚生活はとりあえず順調だったらしい。

性生活については「最初から期待してない」と言い切った。

俺と別れた後、半ばやけっぱちになったユキは、山田と付き合い始める前、1回だけ行きずりに近い形で親しくもない男に抱かれたそうだ。

しかし、オーガズムはもちろん快感らしきものもほとんど得られず、その時点で「セックスに対する幻想は捨て去った」という。

それも短絡的だが、考えてみれば俺だって海外で何人かの女と付き合ったけど、ユキほど燃えて快感を得られる相手はいないと、諦めてた部分があったしな。

山田のモノはコンパクトサイズだし、持続時間もユキの表現を借りれば「刹那」。

前戯から後戯まで、基本的に相手を気持ち良くするって発想がないそうだが、今の彼女にとってセックスは快楽が目的じゃなく、愛情確認のための行為だ。

夫婦間じゃ「1回もイッたことがない」と言ってたが、下手でも一生懸命頑張ってくれれば、満足できなくても十分だったんだろう。

俺のことは「吹っ切れたと思ってた」そうだ。

女の恋愛は上書き保存ってのがどこまで的を射てるかは知らんけど、俺もそれを期待してた部分がある。

定例会で俺と会った時は、封じ込めてた気持ちが一気に噴き出してパニックになり、自分でも訳が分からなくなったとか。

「今はもう大丈夫だろ?」

「…うん、たぶん」

そう言いながら涙ぐまれると、ちょっと…というかかなり不安になる。

たぶん、店を出てラブホに誘ったらついて来たはず。

3年間の付き合いで、ユキが俺を見て尋常じゃなく発情してるのは分かった。

聞かれもしないのに夫婦生活のことまで話すし、もしかしたら最初から、半分くらい「そのつもり」で来たのかもしれない。

相性抜群だったユキを前に、俺も股間が疼かなかったと言えば嘘になる。

ただ、さすがにそこはオッサン。

いくら元カノでも相手は部下の奥さんだ。

ここでハメれば2人とも「快楽蟻地獄」に逆戻りするのは確実だし、そうなると全員が不幸になるってことくらい分かる。

無鉄砲で可愛い新人だったユキも、今じゃアラサーのママさんだ。

それくらいの分別はあったらしく、名残惜しそうにしながらおとなしく別れた。

** ** **

手詰まりだった事態は、それから間もなく良くない方向へ劇的に進行する。

異常を見かねた職場の何人かが、半ば強引に山田を飲みに連れ出した。

もちろん俺抜きだ。

誘った連中は俺とユキの関係を知ってる奴らだから、山田がおかしくなった原因も何となく分かってたみたい。

飲みの席で泣きながら愚痴りでもすりゃ、まだ救われたんだろうが、よりによって山田の奴、酒が入ると誘ってくれた連中に絡み始めたんだな。

「なんで知ってて俺に教えてくれなかったんだよぉぉぉ~~!?」ってか。

んなこと言われたって連中も困るわけだが、完全にギアの入った山田は俺とユキとの生活…それも夜の生活について執拗に尋ねてきたそうだ。

もちろん俺は、自分の性生活を人様に教える趣味はない。

ところが運悪くというか、山田を誘った中にユキと同期の女がいたんだ。

その子も新人の頃に俺が指導係を務めたんだが、ユキとは本当に仲が良かった。

俺に告白する前、ビビるユキに「ほんとに好きなら当たって砕けちゃえ」と焚きつけたのもその子…と、これは後になってユキから聞いた。

それだけならいいが、ユキはその同期の子にエロ関係の相談もしてたんだわ。

中イキ3連発で失神したとか、アナル挿入が気持ち良すぎて癖になるとか、縛られてイキまくる自分は異常じゃないかとか、本気で妊娠したいとか。

自慢したかったというより、初めてだったから自信がなかったのかもな。

同期の子にすりゃ、興味本位で聞き出した部分もあったんだろう。

ユキがそんな相談をしてるなんて、俺はちっとも知らなかった。

同じ部署で、ユキ以外に俺の性生活を知ってる女がいたと思うと、これは相当恥ずかしい。

その同期の子、食い下がる山田に知ってることを少しだけ話したんだと。

何でそんなことするかな…と思ったが、山田があまりにしつこかったのと、もともとその子は山田のことをあまりよく思ってなくて「そんなに知りたいなら教えたげるわよっ!」という感じだったみたい。

確かに山田は人当たりに問題あるし、外見のせいか女からの評判は悪い。

だからといってそんなことまで話してどうするよ、とは思ったが、その同期の女にすれば、ユキと俺のことをずっと応援してたんだと。

別れたときに俺を「人でなし」呼ばわりしたのもその子だし、ユキが山田と結婚すると知り「なんでこんな男と…」と思ってたという。

アナルとか縛りとか、どこまで山田に話したかはっきりとは言わなかったが、俺と別れる直前に子供ができればつなぎ止められると、すがるような思いで自分で計算した排卵日を狙って中出しを試みた、ってことは話したらしい。

というか、その子が「最終手段で子供作っちゃいな」と入れ知恵したんだとか。

困った奴だが、俺の立場でその女を責めるのも酷な気がする。

山田は顔面蒼白になって、その場で吐いたそうだ。

翌日から山田は会社に来なくなった。ユキに連絡すると部屋にこもってるという。

自分から聞いて傷ついて、ある意味自爆だが、そう言い切るのも気の毒だよな。

欠勤や休職の手続きは、元社員でもあるユキと俺で済ませた。

あとは山田の実家と連絡を取り合い、何とか心療内科へ行かせて診断書をもらう。

病気での休職なら、うちの社にもそれなりの保障があるしな。

山田はユキと別居し実家で療養中。ユキも実家には行くが顔は合わせないそうだ。

俺も本来なら直属の上司として様子を見に行く立場だが、その辺は俺のさらに上司と総務の奴らに頭を下げて丸投げしてる。

何せ異常を引き起こしたストレス源がユキと俺なわけで、会うと状態が悪化するだろう、という判断だ。

今のところ復帰のめどは立っていないが、元の部署に戻るのは無理だろうな。

というか、会社に残れるかどうかも微妙。山田の場合、本人には気の毒だが欠けても戦力的に大きな打撃はないし、会社も引き留める気はなさそうだし。

ただ、親がそれなりの立場(会社の大株主の友達だったかな)にある人で、奴本人もコネで入ったみたいなもんだから、ゴネたらどうなるかは分からん。

その後もユキとは何度か会ったが、離婚は避けられなさそうな雰囲気だわ。

山田の両親との関係も微妙みたいだし、何より子供にあの父親はないわな。

結婚前の同棲の事実を伝えなかったことが有責に当たるかどうかは知らんけど、症状が良くなっても結婚生活を続けるのは無理かな、とユキ本人も言ってた。

ユキは自分も心を病んだ経験があるから気の毒がってはいるが、山田に対してはそれほど思い入れもないのか、意外としっかりしてる。

ある程度回復した時点で離婚の手続きに入るみたいだ。女って強いよな。

子供連れで離婚となれば経済的にも何かと大変なわけで、今は就活中。

元の職場に復帰するのは簡単じゃないと思うが、もともと優秀な子だし、

関連会社に入れる方向で俺も手伝ってる。せめてそれくらいしないとな。

昨日、就職の相談と様子伺いを兼ねてユキが住むマンションに寄った。

ポケットにゴムを忍ばせて…なんてことはもちろんない。子供もいるし。

彼女が飲み物を用意するのを居間で待ちながら、テーブルの上に置いてある書類を何の気なしに見たら、不動産屋の資料。

ふーん、このマンションも引き払うんだな、と思って眺めてたんだが、赤丸が付いてる物件は、俺が今住んでるマンションの同じ階の部屋だった。

ほんのり怖くなった。

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